2025年1月号(No. 650)バックナンバー
新年のご挨拶(建設・不動産部会)
シンガポール日本商工会議所の皆様、新年あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては健やかに新春を迎えられましたこととお慶び申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。
■2024年度活動報告
昨年は7月に弊社シンガポールランドタワーリニューアル工事作業所で作業所見学会、9月には対面でのセミナー“シンガポールにおける建設工事関連保険の概要”、そして11月には夕食懇親会と合わせて3つのイベントを開催いたしました。
作業所見学会では超高層ビルにおけるテナント居ながらの内外装全面改修工事と言う非常にチャレンジングなプロジェクトを見学頂き参加の皆様から活発なご意見を頂きました。
セミナーでは各種保険の概要及び適用事例等を日本との比較も交えながらわかりやすく説明頂き改めて勉強させて頂きました。
また夕食懇親会はプラナカン料理のお店で開催し、シンガポールならではの食文化を堪能すると同時に活発な交流が行われ、部会員相互の親睦を大いに深める良い機会となりました。
■2024年のシンガポール建設市場
シンガポール建築建設庁(BCA)は、2024年1月15日に、2024年のシンガポールの国内建設受注額が320~380億シンガポールドル(以下、SGD)(前年度338億SGD)、建設施工高が340~370億SGD(前年度348億SGD)になると発表しました。ここ数年の安定した建設需要が引き続き継続すると想定されています。
また、シンガポール貿易産業省(MTI:Ministry of Trade and Industry)は2024年8月13日に、シンガポールの2024年GDP成長率(予想値)を当初の予測レンジの1.0%~3.0%から2.0%~3.0%に予測幅を絞り込む修正発表をしました。その中身を産業別に見ると、建設業は前年度比較で3.8%の成長を示しており、引き続き堅調に推移しています。
■2025年以降のシンガポールの建設市場
BCAは、2025年~2028年の中・長期国内建設受注額を310~380億SGDの間で推移するとの見込みを示しています。その内訳として公共工事が190~230億SGD(約60%)、民間工事が120~150億SGD(約40%)になるほか、建築工事が約70%、土木工事が約30%になると予想しています。
主な予想発注案件としては、HDB発注の公団住宅整備、LTA発注のクロスアイランド線第3期やダウンタウン線の延伸といったMRTプロジェクト、アレクサンドラ病院再開発やベドック総合病院新設、シグラップサウス総合開発など大規模公共工事が予定されており、旺盛な建設需要が続く見込みとなっております。
なお、上記予測には、チャンギ空港第5ターミナル及び統合型リゾート施設(IR)の建設需要は含まれておらず、更に上振れすることが予想されます。
堅調に見える建設市場ですが、大型プロジェクトの発注時期が重なることにより、建設資材の価格高騰や建設作業員の不足が発生する懸念や、ヨーロッパや中東で続く紛争も終わりが見えず、今後の動きについては引き続き注視する必要があります。
環境関連では、BCAは2021年2月に公表されたシンガポールの包括的な環境行動計画「Singapore Green Plan 2030」を受け、環境に配慮した建築の推進をさらに強化すべく、2022年7月にSingapore Green Building Masterplanを第4版に改訂しております。具体的には2030年までに①シンガポールの建物の80%がグリーンビルディング認証(BCA Green Mark)取得を目指す、②省エネ技術や再生エネルギーの利用拡大などによりエネルギー使用強度(EUI)を80%削減する、③省エネ設計や建築技術により80%の建物がエネルギー効果の高いものにする、という「80-80-80 in 2030」という目標を定め、環境に配慮した持続可能な街づくりを推進しております。
建設業を取り巻く情勢や環境について、セミナーや意見交換などを通じて理解を深め、会員企業様のより良い未来に向けた一手に貢献できればと思います。
本年が皆様にとってより良い年になることを心から祈念致しまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。