シンガポール日本商工会議所 

江口新会頭 就任ご挨拶

 

三井不動産(アジア)の江口でございます。

このたび、皆様のご推挙をいただき、伝統あるシンガポール日本商工会議所の会頭に就任することになりました。甚だ微力ではございますが、重責を全うすべく全力を傾けて参ります。会員の皆様には何卒ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

今年は、JCCI設立55周年という節目の年に当たります。1969年、シンガポールが独立してからわずか4年後に、進出日系企業56社を会員にJCCIが当地に誕生しました。時代と共に、多くの試練を乗り越え、現在では774会員となり、日本とシンガポール両国の経済発展に貢献してまいりました。

JCCIの長い歴史の中で、建設・不動産業界から会頭になるのは、今回私が初めてのようです。ますます、責任の重大さに身が引き締まる思いでございます。これからは、先輩方が築いてこられた輝かしいレガシーを引き継ぎ、変化を恐れず、門戸を広げ、共に歩む新しい時代を切り開く所存でございます。

このような思いから、本年度の基本方針を「伝統と革新、共に未来へ」と定めました。基本的には、これまでの歴代会頭が受け継いでこられた本会議所の役割を踏襲しつつも、 シンガポール政府、各経済団体、政府機関などとの連携を一層深めて、JCCIと会員企業がともに成長できるような事業活動を実施したいと考えております。これから、本年の4つの基本的な取り組みについて説明いたします。

第1は、「情報提供・ネットワーク拡大」です。
会員の皆様からの入会理由には、「在星日系企業とのネットワークづくり」が一番に挙げられています。その大きな期待に応えられるように、引き続き、対面、オンラインという形式のそれぞれの特徴を活かしながら、会員ニーズの高いテーマの最新情報を、各種イベントや機関紙「月報」などを通じて、タイムリーに提供していきます。更に、会員同士のネットワーキング活動につながる各種イベントを開催してまいります。今年度から、先ほどの審議でご承認いただきました準会員制度が開始されます。非日系企業や当地に拠点を持たない企業にも門戸が開きましたので、JCCIネットワークの更なる広がりに期待が持てます。日系企業の枠を超えて、当地で活躍するローカル企業や他国の企業との連携も進めていきます。

第2は、「ビジネス支援・環境改善」です。
ビジネス支援活動として、会員企業から好評を頂いているメール配信サービスをはじめ、月報・ホームページでの広告、中小企業のためのプレゼンテーション大会や無料経営相談などを継続していきます。また、日頃から会員企業の「駆け込み寺」や「よろず相談窓口」になるように、事務局も全力で対応していきます。

更に、会員のビジネス環境の改善を図るべく、シンガポール政府機関とのチャンネルを維持・拡大していきながら、アセアン域内でも、日本人商工会議所連合会やアセアン事務局との対話をはじめ、各国の日本商工会議所やジェトロとの連携も推進していきたいと考えております。

第3は、「基盤強化」です。
現在、シンガポール日本商工会議所には、774社の皆様にご入会を頂いております。近年、残念ながらその数は減少傾向にありますが、2023年度は、前年度末の773社から差し引き1社の「勝ち越し」となりました。2024年度も、1社でも増やしていけるよう工夫してまいります。

シンガポールの特徴は、ASEAN諸国のハブとして多種多様な業種の企業が進出していることであり、幅広い分野の企業との交流を通じて、新たなビジネスチャンスを創出できることです。JCCIが持つ各方面のネットワークを活用していただくことで、それが可能になるということを、当地への進出が加速しているスタートアップ企業の皆様にもアピールしていきます。また、準会員制度の新設もご承認いただきましたので、積極的に準会員の獲得にも努めてまいります。

第4は、「日本のプレゼンス向上」です。
これは、アセアンで活動する日系企業における共通課題となっております。特に当地では、世界中の有力企業が集まり、我々はかつてない厳しい競争にさらされております。一方で、日本、そして日本品質に対する評価と信頼は根強く、日系企業が活躍できる場面がまだ数多くあると思います。イプソス(Ipsos : フランスの市場調査会社)社の「2023年国家ブランド指数」調査によりますと、調査対象60カ国の中で、日本が史上初の首位となりました。JCCIとしましては、日本が得意とする精密機器、環境、医療など産業分野のほか、日本食や観光、ライフスタイルなど、世界に誇る日本のカルチャーについても、日本大使館、日本人会、ジェトロなどの皆様とも協力しながら、シンガポールの皆様にアピールしていきたいと思います。そしてシンガポール社会に貢献し、シンガポールの皆様との絆をさらに深める活動も展開していきます。

最後になりますが、馬場・前会頭におかれましては、ご自身で掲げられた活動方針「強く、誇り高く、日本をアピール」の実現に向けて、ご多忙の中、様々な場面に積極的に出かけていただきました。今年の新年会では、シンガポール人のお仲間と共に、和太鼓を叩き、渾身のパフォーマンスを披露されました。シンガポールにおける日系企業のプレゼンス向上に止まらず、日本文化の普及と浸透にも多大な貢献をされました。この場をお借りし、全会員を代表して厚く御礼申し上げます。

以上が、会頭就任に当たりまして、私の所信表明ですが、会員皆様のご協力があってこそなし得るものです。今後も、皆様のご支援・ご協力を賜りながら、シンガポール日本商工会議所が一層発展できるよう、尽力してまいります。

一年間、どうぞよろしくお願い致します。

以上

シンガポール日本商工会議所 会頭

江口 大二郎(Daijiro Eguchi)

2024年3月19日