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2025年1月号(No. 650)バックナンバー
新年にあたって(会頭)
シンガポール日本商工会議所会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、2025年が素晴らしい一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。
2024年は世界的に国家・地域のリーダーの選挙が集中する年となりました。日本では石破政権が誕生したものの総選挙で与党は過半数を失い、今後どのように舵取りを行っていくのか注目されています。米国ではドナルド・トランプ氏が大統領選挙で再選を果たし、「米国第一主義」の先鋭化リスクに多くの国家、企業が身構えています。世界中のいたるところで国家やイデオロギー間の対立が顕在化し、地政学リスクを踏まえた企業活動を強いられる状況となっています。加えてウクライナ戦争の影響は依然として続き、エネルギー価格や物価の上昇が、我々のビジネス環境にも大きな影響を与えています。こうした状況下でも、多くの日本企業がグローバルにビジネスを拡げ、業績を伸ばしていることを嬉しく思います。JCCIでは、様々な活動を通じて会員企業の皆様を支援して参りましたが、昨年も会員企業が共に切磋琢磨しながら成長できた一年だったのではないかと振り返っております。
昨年、JCCIは設立55周年を迎えました。3月の会頭就任時に、「伝統と革新、共に未来へ」という活動方針を掲げ、新たな取り組みを開始しました。まず、会員ネットワークの拡充および基盤強化のために「準会員制度」を導入し、非日系企業や当地に拠点を持たない日本企業にも門戸を開きました。現時点で10社の準会員企業がJCCIの仲間に加わり、今後の企業間交流やビジネスチャンス創出が期待されます。また日本のプレゼンス向上のために、55周年事業として「シンガポールの発展におけるJCCI会員企業の貢献事例」の募集を実施しました。現在、17社から、マーライオン、MRT、チャンギのジュエルなど、日系企業の技術や参加が実現したプロジェクト事例を提供頂いています。これらの事例をJCCIのホームページに掲載し、シンガポールの皆様にアピールしていきます。本事業は今後も継続しますので、ぜひ皆様の事例をお寄せ頂きたいと思います。
会員の皆様から特に要望の多い交流活動については、各部会が中心となり、多様なテーマの視察会、懇親会、講演会を開催しました。年末には恒例の「年末懇親パーティー」に、約400名の会員様にご参加頂き、大いに盛り上がりました。ビジネス支援活動としては、会員企業向けの無料の経営相談、Eメール配信サービス、プレゼンテーション大会などを通じて、経営問題への助言や販路拡大のための広報活動の場を提供しました。また、シンガポール政府機関とのチャンネルを維持・拡大し、会員の声や改善要望を管轄部門に届けることに注力しました。アセアン域内でも、日本人商工会議所連合会やアセアン事務局との対話、各国の日本商工会議所やジェトロとの連携を推進しました。
JCCI基金の活動では、昨年も多くの寄付金を頂き、地元団体の活動や日本への留学生をサポートすることができました。日本語スピーチコンテストでは、参加者の日本語習得に対する熱意に大変感銘を受けました。一昨年再開した海外視察団では、サウジアラビアとバーレーンを訪問し、成長する中東のビジネス環境やポテンシャルを目の当たりにし、大きな刺激を受けました。
昨年はシンガポールも首相交代の節目の年でした。シンガポールビジネス連盟(SBF)の活動を通じて、リー・シェンロン元首相とのディナー会やローレンス・ウォン新首相とのランチ会に参加し、シンガポール政財界のネットワークに触れることができました。新リーダーが、シンガポールをさらに魅力的なアジア経済のハブとして成長させてくれることを期待しています。
最後になりましたが、JCCI会員の皆様のご多幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます。2025年も、JCCIでは引き続き様々な活動を通じて、会員皆様のビジネス支援と日本のプレゼンス向上に取り組んでいく所存です。より一層のご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。